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WUGのファイナルライブに行かなかったあなたへ

前書き

 最初に、この記事の主旨を記します。
この記事は2019年3月8日にさいたまスーパーアリーナで開催された『Wake Up, Girls!』(以下WUG)のファイナルライブに行かなかった方が後悔を深めるためのものです。

 

つまり、

  • 解散後である2019年4月以降に、別作品に出演した"元"WUGメンバーなどを通してWUGに興味を持った

  • 興味はあったし見に行こうと思えば行けたが何かしらの理由で行かなかった

そんな人に向けたものです。

 

WUGは最高でした。
どう最高だったかというと、

 

「「「「超お得!」」」」

 

でした。

 

2019年4月以降にこの記事を読んだ方、
後悔してください。

 

 

  

たどり着いた地平 / 飽和する声優ライブコンテンツの中で

2013年にプロジェクトが本格始動し、作品のオンエアと声優のライブを定期的にやりつつも、アニメやら監督やらでは色々あり、山あり谷あり、紆余曲折。

かつて傍観者でしかなかった自分から見ていても、順風満帆とはほど遠いのだろうな、大変そうだなとは思っていました。

 

2018年6月、声優ユニットとしてのWUGを2019年3月をもって解散すると発表がありました。
直前の5月に開催された幕張でのライブに行った私には理由がわかりました。

 

売れなかったからです。

 

幕張メッセイベントホールではスタンド席上段を"潰して"なお空席が目立っていました。*1
アリーナはおおよそ埋まっていたものの、他コンテンツでの満員の幕張しか知らない自分はショックでした。

 

一方でイベントの内容は単純に良く(今の彼女らがどう良いのかは後述)、時期としても『Wake Up, Girls!』というコンテンツの世界内に留まらない展開が軌道に乗っているように映り、期待でき、ファンとして応援することでその先を見たくなりました。 

『僕らのフロンティア』(YouTube)『恋?で愛?で暴君です』(YouTube)『スキノスキル』(YouTube)といった他作品タイアップはWUG・作品いずれにもマッチしていたし、私がライブに行きアニメを見るきっかけとなった『Polaris』を始めとする多彩なオリジナル楽曲群と彼女たちのパフォーマンスには可能性を感じました。

 

紆余曲折あったアニメ作品発でありながら、彼女たち7人

ぶっちゃけ今WUGはどうなっているのか

自由さ、それは隙のない表現力の先鋭化に寄与しました。
コンテンツの展開としての縛りも薄くなり、初期から直近までの楽曲を自在に組み替え、公演や土地ごとに意味と感傷を生み出しました。

 

MONACA擁するクリエイター陣がWUGに提供する楽曲の難易度の高さは、曲の1サビと2サビで異なる振り付けのフォーメーションダンスをしながら2声3声でハモるアーティスト・WUGへの信頼に他なりません。*3

 

メンバーの個性と関係性も特筆すべきものがあり、それぞれの結束は強固、というより変幻自在の彩りでこちらを魅了しました。
ニコニコ生放送で展開されていたファミ通presents『WUGちゃんねる』 *4 は面白かった。
毎回異なる2〜3人の組み合わせで発揮される面白さが様変わりするのに驚かされたものです。
ファミ通らしいゲームに絡めたエンタメが向いていたのもあってか非常に愉快で、メンバーもそれぞれに「個性が磨かれた・発揮された」と語っています。
ずっと、そして何度でも見ていられました。第1回*5 を何回見たことか…。

 

分水嶺と愛 / ファイナルツアー岩手公演

2018年12月9日に一つの区切りがありました。
"HOME"と銘打っての全国12箇所33公演を巡るファイナルツアーは7月から始まっていましたが、全3ターム中Part1のエンタメ性に富んだ構成は"解散"を控えたユニットのライブとはとても思えず、メンバーもそれに触れることはありませんでした。
 
しかしPart2の岩手は空気が違いました。
WUGにとって作品の舞台であり心を寄せ続けた東北の公演であることや師走という時節の作用に加えて、メンバー奥野香耶の出身地であることがその一幕をもたらしました。
 
凱旋にちなんで彼女が用意していた特別企画は合唱。
舞台転換中のメンバーからのボイスメッセージの後、彼女たちは地元の合唱団「イーハトーヴシンガーズ」を交えた合唱を披露しました。
夜の部の曲*6『旅立ちの時』(YouTube)
歌には以下の一節があります。
 
旅立ちの勇気を 虹色の彼方に 語りかけるこの時
微笑みながら振り向かずに
夢をつかむ者達よ 君だけの花を咲かせよう 

 

このタイミングで来たる離別とさらにその先にまで触れる曲を歌うこと、それを選んだ勇気にまず最初の衝撃を受けました。
しかし公演の一週間後の奥野さんのブログ*7 で、私はさらなる衝撃に打ちのめされました。

 

いつかのイベントでね、私たちを明るく照らしてくれるみんながね、本当は無理してるんじゃないかな?って思ったことがあったの。

 
気持ちに蓋をしてないかなぁって。
それでよかったのなら、ごめんね。
 
私ができることがあまりにも少ないから、
でも、せめて一緒に進めたらなぁって、思った。
 
この日は他のメンバーもWUGで岩手に来るのはこれが最後であることを感じさせるMCをするなど初めて「おわり」を意識するようなシーンがあり、楽しさと寂しさが入り混じる公演になりました。
しかしそれ以上に、その愛の深さに包まれた公演となりました。
 
同じ夢を見てくれる。
希望の種をくれる。
一線を超えて*8 お互いの未来を考えてくれる。
 
彼女たちはアイドルではなく、アイドル作品の声優ユニットです。
しかし機能あるいは現象の域のアイドルとして、真に迫っています。
 
岩手公演と(結果的に)対になっていたのであろう熊本公演に行けなかったのは残念ですが、そこで熊本出身のリーダー・青山吉能はこう言ったそうです。
 
「生きて」と。*9
 

 WUGちゃんたちのキャリアハイ

この世に無数にあるコンテンツ・物語は、日夜「始まり」「終わって」ゆく。
ゴールが定まったWUGもその有象無象の中にあるし、届かない人には届かないまま最後を迎える。
 
しかしその中において、WUGのひとつ突出したポイントを挙げます。
彼女たちの "7人の表現" は2019年3月にピークを迎えた、ということです。
 
もちろんあと5年、10周年までやれていたらさらなる技術・表現力の向上と経験によって素晴らしい景色が見られたことは想像に難くありません。
一方で時の流れは得るものだけでなく失うものもあります。
それにあれこれ思索したところでIFはないので、2019年3月で終わることは確定事項です。
 
じゃあ今はというと、6周年を控え、ツアー千秋楽そしてファイナルライブを目前に控えた今のWUGは、全部があります。
 
10代でオーディションで見いだされ*10、ずっと一緒にいて、たぶんそれは青春だったんです。
上手くいかない中で苦しんで、もがいて、必死になって、支えあって、そうして光ろうとするスタイル(というか生き方)を5,6年続けてきたものだから、たぶん今まで拾って育てて磨いてきた"自分たち"を何一つ捨てられずに「約束の地」へ持っていくのだと思います。
 
だからファイナルライブでWUGを見るのは「お得」だったのです。
そこに全部あったのだから。
 
あの日の笑顔のままで 眠らせて
強さがあなたに 届くと信じる
忘れないで でも上手に忘れて
極上の笑顔で また会いたいんだ
 
さて。
 
冒頭で「間に合わなかった方」と「あえて行かなかった方」に向けた記事と書きました。
 
前者の間に合わなかった方、残念ですが縁がなかったと思うほかありません。
大丈夫アニメゲームコンテンツの声優ユニットなんていっぱいあるじゃないか。
WUGはもう無いけど。唯一無二だったけど。
 
後者の方、あえてその選択をしたのならその選択は尊重されるべきです。
しかしもし成さなかったことを後悔してるなら、それは誰にも救えないです。
 
では、今日は何年何月何日でしょうか。
上のほうで「出会えなかったのは縁がなかったと思うほかない」と書きました。
今この瞬間はどうでしょうか。
この記事をここまで読まれたあなた。
縁はありますか。
 
あなたの人生に、彼女たちの全力を刻む余地はありますか。
 
 ※当日券でます

 

  

※メンバー敬称略
 
※筆者は2018年4月からファンになった歴1年未満のド新参ワグナー
 
※曲
予算に余裕があるならCD8枚+BDに83曲とMVが入ってるメモリアルベストをCDかDL配信。
様子見ならApple Music、SpotifyやANiUTaなど。
 
※アニメ
ライブ行くにあたって観たほうがいいか。
そりゃ観た方が得られる情報量もバックグラウンドも多い。
でも未視聴なら今から全部観るのは大変だし、観ても観なくてもどっちでもいいでしょう。
一般的な評価は高くないけど、キャストのWUGちゃんを好きになれたらアニメも楽しめる可能性が大いにある。
dアニメストアやアマプラで一番最初の劇場版「七人のアイドル」を見て引っかかるものがあったらTVシリーズや映画を観るのが良いでしょう。
ただなんか2018年末くらいに新章(二期)が各所で配信終了になってるみたいで…。
 

*1:キャパは最大で約9,000人らしい

*2:Polarisはメンバーが作詞を担当している

『WUG』が語るPolarisの意味とワグナーへの思い | アニメイトタイムズ

*3:MONACA以外のクリエイターも沢山提供して下さっている。念のため

*4:2018年12月をもって更新終了・チャンネルと動画は2019年3月まで残置

*5:神回

www.nicovideo.jp

*6:昼は『イーハトーヴの風』

*7:メンバー日替わりブログの土曜日担当

*8:青山吉能のMC。「私たちファンと演者の一線超えちゃったね」で会場爆笑。よぴちゃんすき

*9:

『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - ~ PART III KADODE~』熊本夜公演レポ | アニメイトタイムズ

*10:奥野のみ22歳の時