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いつかWake Up, Girls!を忘れるあなたへ

この記事はワグナーのみならずWake Up, Girls!(以下WUG)のファイナルライブ~想い出のパレード~に居た様々な人を読み手に想定して書く。
しかし、ライブに参加した各々が抱いた感動を毀損するかもしれない。
 
注意されたい。
※敬称略

ファイナルライブを経て

 
6年間の歴史と積み重ねたものを見せ、たくさんの感動をさいたまスーパーアリーナ(以下SSA)という大会場に届けた。
愛の空間だったし、彼女たち7人も今までの苦労が報われたであろうと想像する。
Wake Up, Girls!の集大成で、同時に卒業式で、WUGちゃんとワグナーの想い出のパレードだった。
 
そして私は「WUGちゃんは永遠にワグナーだけのものになってしまった」と思った。

今回観に来てくれた多くの人に今のWUGを見てもらって、その凄さを再発見して追いついてもらえたけど、HOME(ファイナルツアー)に居なかった人を"家族"にしてあげられなかったと感じた。
そこだけは間に合わなかった。
 
強い言葉を使ったが、そもそもここまで"家族"の定義すらしていないし、ファイナルライブに際しWUGちゃんは「ただ来て、感じてくれればいい」と言っている。*1
あの場に居た人がそれ以上の何かを背負う必要などない。
 
だから私はただあの美しいパレードを少しでも覚えておくために、心の中のこの余韻を生きるための推進力として前向きに残すために、その可能性を記す。
 

HOME

 
2018年7月から始まり12会場33公演を巡ったファイナルツアーHOME。*2
このツアーでは、MC中でメンバー同士やファンであるワグナーをも含めて"家族"だと言われることが幾度かあった。
少なくともアニメ作品として特段家族を押し出しているわけではない。
ではいつからそのようなワードが表立って演者・ファン双方から言及されるようになったかというと、2018年5月12日「Green Leaves Fes」での青山吉能のMCに遡る。*3
 
『ワグナー』お前たちもみんな家族だー!!*4

 

ここでの言及がファイナルツアーのタイトルに「HOME」が使われた理由であるかは知る由もないが、ツアーの構成上、メンバーの出身地を周ることも多かったため自然と「家族・ふるさと」にまつわる企画やトークも増えた。
 
HOMEツアー Part2 大阪・岸和田1日目昼の永野愛理のMCでも言及されているし、Part3の熊本公演の青山の手紙にもこうある。
 
ワグナーという最高の家族*5

 

奇抜な演出も攻めたセットリストも客席に降りる振る舞い(通路席なら距離にして横30cm隣を練り歩く演出)も、ワグナーなら正しく楽しんでくれるだろうと任せてくれた。
喜びも驚きも(見せてくれる範疇の)葛藤も弱さも互いに受け入れ全力でライブを楽しみ、熱いレスポンスを交わし、一緒に解散に向き合い、受け入れたり受け入れられなかったりしながらも確かに歩いた。
彼女たちはメンバー同士のみならずファンのことも信頼と親しみを込めて家族と呼んだ。
 
ステージの向こう側にいる演者がファンやコミュニティを指して”家族”と表現するのはかなり上等な賛辞だ。
そしてそういった呼称を用いるのは、よくあることでもある。
famとかTRIBEなども同属の表現だ。
同じものが好きであるという同調意識を持たせ、共通言語を話し、身内感を高める。
血縁や姻戚によらない個人・集団を結びつけるための絆として使われる言葉。
「家族ごっこ」の形態はとても汎用的なものだ。
 
ただ殊このコンテンツにおいて、WUGちゃんと志を共にする家族であると名乗るのはちょっと勇気がいることかもしれない。
何故なら必ずWUGの成り立ちとも向き合うことに繋がるからだ。
 

Polaris』と『TUNAGO』

 
震災を機に復興支援の一環として仙台を中心に東北を盛り上げようと始まった「Wake Up, Girls!」。
 
永野
でもやっぱり最初は復興の力になれるようなことはなかなかできなかったんです。*6
 
と語られるように最初からその目的を果たせていたわけではないし、単に売れる売れないの問題以前にエンタメとの両立を咎(とが)のように感じることもあったようだ。
 
奥野
震災があったとき、こんなに大勢の方が亡くなったのに、なんで私はその中に入ってないだろう、生きているんだろうということが、すごく不思議で、すごく嫌で。そんな中で、WUGになって、声優になりたいという夢を叶えようとしている私って最低な人間なんじゃないかって思った。
きっかけっかけがきっかけだから、本当は活動をしながら“楽しい”とも思っちゃいけないんじゃないかという気持ちもありました。*7
 
それでも6年間で彼女たちは伝えるべきものを伝え、成すべきことを成した。
ファイナルライブのダブルアンコールで歌われた『Polaris』は「作詞:Wake Up, Girls!」だ。
宮城出身の永野と岩手出身の奥野が歌うパート、
 
君と見た景色さえ
黒く塗りつぶされて
楽しいも嬉しいも波がのみこむの
 
で、彼女たちは「闇」という間接的な表現を候補に挙げつつも、最終的に「波」という語句を選んだ。*8
 
誰かを傷つけることになるかもしれないと迷いながらも正面から踏み込んだのは、ただ復興支援の一環で始まったグループだからというノルマ消化などではなく、これからもWUGは関わり続けたい、東北を盛り上げたいという決意に他ならない。
 
彼女たちはコンテンツ自体がどのような時期でもやれることをやった。
東北イオンのCM出演・店内放送、楽天イーグルスとのコラボナイター、岩手・宮城・福島でのチャリティーイベント、メンバーが熱望し続けた東北6県を周るソロイベントツアー、閖上(ゆりあげ)地区を経由するバスツアー。*9
仕事として声優としての夢の実現、エンターテインメントの製作、東北に人を呼び盛り上げる復興支援、伝えること、それぞれをコツコツとやり遂げた。
 
そして『TUNAGO』をテーマに掲げた2017年の4thツアーやファイナルツアーHOMEで「繋がり」に導いてくれた。
 
私はHOMEツアー徳島公演の永野のMCが忘れられない。
 
昨日、みんなでご飯食べた後にコンビニ行ったら、長蛇の列ができちゃって(笑)。店長さんが慌てて出てこられて『何かあったんですか?』って聞かれたから『観光に来てます』って答えたのね。ちよっと嘘ついちゃったんだけど(苦笑)。そしたら『徳島が賑わうのは嬉しい』って。
ここで楽しむのは勿論なんだけど、この後ご飯に行ったり、お店に行ったり、お土産買ったりして、色んな人の幸せが増えたらいいなって思います。このツアーの意義を改めて感じました。徳島に感謝の気持ちを持ちつつ、楽しんで下さいね!*10
 
ふるさとが にぎわい広がっていく
 - TUNAGO
 
という歌詞があるが、『TUNAGO』を通して、WUGちゃんを通して、ライブツアーを通してワグナーは土地と人と心と繋がることの暖かさをこれでもかというほど叩き込まれた。
 
繋がることで生まれる力に確信を得た。
 
Polaris』で描かれる希望と覚悟、『TUNAGO』で描かれる様々な繋がりを認知するもの。
それがWUGにおける家族の定義だ。
 

逃れられない欠落

 
人間は忘れる生き物だが記憶だけの話ではない。WUGの資産はあまりに欠落が多い。
今後もある程度のリリースはあるが、過去のラジオもライブも完全な形では残らない。
完全な形で残るのは音源くらい。
超優良・無料映像コンテンツWUGちゃんねる*11 も3月で消える。
 
あまりに物質的・情報的な欠落が多いWUGというコンテンツの記録とWUGちゃんとの暖かい記憶を、そのまま世界に残すことは恐らくできないのだ。
 
家族の力なくしては。
 
観測できる範囲で多くのワグナーが仙台・東北を第二の故郷として愛してくれている。
まさにWUGが目指してきた未来に辿り着いたともいえるが、『TUNAGO』やHOMEツアーを通して見出したものはそれだけではない。

大掛かりな復興支援とか目に見える形のボランティアも出来るには越したことはないが、そんなに高いハードルを設けなくてもいい。
東日本大震災に関係なくていい。
身近な人に災難があったとき、多くの人が悲しい思いをするような不幸があったときに、どう振る舞えるかを考えたり、手を差し伸べることを検討してみてほしい。
 
そしてお互いを知ること、預け合うこと、許し合うことに主体的に関わり、その脈絡にWUGがあることを自発的に想起すれば、WUGとの関わりは途絶えることなくあなたの側にあり続けるだろう。
 

WUGを忘れないとは

 
最初に間に合わなかったと書いたが、早速訂正しよう。
「この美しいステージに全てが昇華されて、WUGの核心を覚えているのはワグナーだけになってしまう」という危機感を抱いたのだ。
 
ファイナルライブのエンターテインメイトの華々しさ、どん底の苦境から這い上がったサクセスストーリー、その部分的なドラマに集約されて完成されてしまう。
そうやって終わってしまっていい物語なんかではなかったはずだ。
 
残されたWUGの音楽や映像を愛でたり、大好きな7人のこれからの活動を応援することはもちろんした方がいい。
それに加えてWUGから貰ったものにどれだけ自覚的であるか、というのが私の考える「WUGを忘れない」だし、WUGの存在証明だ。
 
ワグナーはそれができるだけの「Wake Upパワー」*12をWUGちゃんからもらったはずだ。
 

残された方法

 
もしSSAで彼女たちに再会したあるいは初めて見て「もっと観たかった」とか「後悔がある」とか「何が彼女たちをここまで成長させたのか」とか思っていたら、3月末まで視聴できる「WUGちゃんねる」を見てほしい。
バラエティ番組だがきっと7人が好きになる。
 
そしてHOMEツアーの映像ソフトを見てほしい。
 
1人ではできなかったことを7人で可能にしてきた素晴らしいツアーだったのだ。
あのツアーを創り上げられたのはWUG7人の努力や最後まで彼女たちをサポートした"素敵な大人たち"の存在によるものだが、ライブはステージだけでは成り立たない。
客席の熱量も相応のものがあった。
その上昇し続けたボルテージも含んだ各Partのピークが収録されている。
 
 
 
 
特にファイナルライブと同等のパフォーマンス、客席の練度については圧倒的に勝るといえるPart3仙台公演は是非とも見てほしいところだし、多くの人がおススメするだろう。
 
しかし私はPart2横須賀公演を最も推したい。
 

なぜならセットリストに
Jewelry Wonderland』
のカバーが入っているからである。

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2018年最強アニソン両A面シングル『君とプログレス/Jewelry Wonderland』はWUGのライバルユニット「I-1 Club」のトラックだ。
いずれも「作詞:只野菜摘 」「作曲・編曲:広川恵一(MONACA)  」。
あのシングルの試聴環境を用意しなかったavexを私は生涯許さないが*13、Part2ではWUGちゃんがカバーしてくれた。
『君とプログレス』も『Jewelry Wonderland』もメモリアルベストに収録されていないし、Part2横須賀を見たらどうせ買うことになるのだから逡巡する前にさっさと買ってしまったほうが時間を無駄にしない。
 
 
話が逸れた。
 
繰り返すが最終的に残るWUGの資源は少ない。
映像ソフト化されているものや音源以外では、プレスの記事かファンのレポやツイート検索くらいしかなくなってしまう。
 
だからこれから6月までの間に入手し得るWUGのリリースを是非とも手に入れて、あの輝きと熱量をその身に宿して、『TUNAGO』を聴こう。
 
その上で「想い出のパレード」を見直そう(2019年6月28日BD発売)。
もう一度、WUGちゃんと出会い、別れ、人生の第2.0.1章にマイナーアップデートするのだ。
 
そうしたら本当に"追いつく"。
WUGちゃんと家族になろう。
 
 
P.S.
大前提として私自身"間に合わなかった側"の人間なので半分くらいは自己言及を含む。
後悔している。
出会っていた2016年にWUGに入っていれば、3rdや4thに人を呼べたのにとか、東北ろっけんソロイベやバスツアーに参加できたのにとか。
何より彼女たちの想いをより強く、直接受け取ることができたのに。
2015〜2017年にかけての苦しい時に一緒に走れなかった。
でも、それでもWUGに出会えてよかった。
 
P.P.S.
6月のイーハトーヴシンガーズ行きます

 

 

*1:Wake Up, Girls! FINAL LIVE直前インタビューvol.2「強い、笑顔のWUGちゃんで」 - ファミ通.com

*2:Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - 

*3:2018年3月11日 TUNAGO東北ろっけんソロイベントツアー 吉岡茉祐 夜の部のMCでも言及されているようだが、WUG7人いる場としてグリフェスをピックアップする

*4:『WUG』×『RGR』Green Leaves Fes 夜公演レポ | アニメイトタイムズ

*5:『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - ~ PART III KADODE~』熊本夜公演レポ | アニメイトタイムズ

*6:Wake Up, Girls! FINAL LIVE直前インタビューvol.1「いままで見た中で、いちばんいいWUGちゃんだった!と思ってもらえるように」 - ファミ通.com

*7:Wake Up, Girls! FINAL LIVE直前インタビューvol.1「いままで見た中で、いちばんいいWUGちゃんだった!と思ってもらえるように」 - ファミ通.com

*8:『WUG』が語るPolarisの意味とワグナーへの思い | アニメイトタイムズ 

*9:宮城県名取市の港町。一泊二日の二日目朝、バスツアーは閖上漁港の朝市を経由地とした

*10:『WUG FINAL TOUR - HOME - ~ PART III KADODE~』徳島夜公演レポ | アニメイトタイムズ

*11:ファミ通presents WUGちゃんねる!(WUGちゃんねるスタッフ) - ニコニコチャンネル:ゲーム

*12:Part2横須賀の映像を見よう

*13:メモリアルベストにヒガプリとノンスト全員分とハートライン入れたのでちょっと許した