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アイマスから失われた終止符と狭き道(タイトロープ)の処方箋

アイマスは終わらないコンテンツになった。
幸せで、満たされている。
時には不満が噴出・爆発することもある。
しかしコンテンツが閉じる、あるいは衰弱死していく恐怖は今でこそあまり感じない。
もはや"終われない"コンテンツになってしまった。
※この記事では大きなくくりでのPROJECT iM@Sを指してアイマスと呼称する。個別に言及するときは個別のタイトル名を用いる。脚注で補完する。
※敬称略
 
かつてはそうではなかった。
アイマスも狭き道の開拓者だった。
「どうしてこうなった」という話ではなく、今こうなるために挑戦し続けたからだ。

しかし掲題の通り、終止符は失われた。
節目はもはや、コンテンツから去るか共に生きて自分が死ぬまで刻めない。
まさに「アイマスは人生」というやつだ。
 
終わるというのとは、本来は救いだったりする。
可処分所得と時間を延々と吸われることからの解放という意味も多分にあるが、一番の理由は「それが何だったかわかる」のだ。
物語を完成させるときに立ち会うことは、全体像を把握できるということだからだ。
 
アイマスに求めることはできない。
だからプロデューサーたちはそういう体験を外に求めるしかない。
 

 

歴史(違うところあったらごめん)

 
実はアイマスにも終われるタイミングがあった。
識者によっても見解は異なるだろうが、私は3回あったと認識している。
 
今の時点から遡ると直近はやはり2015年、765プロの10thライブ@西武プリンスドーム(旧称)
当時デレアニ2ndシーズン*1デレステ*2 、ミリ3rdライブツアー*3 、エム1stライブ*4 を控えて一体どこが終わりかと問われるとそれはそうなのだが、とりあえず765プロは『my song』と『M@STERPIECE』で大団円を迎えることはできたし、他をもっと切り離すこともできたはずだ。
 
しかし終わらせなかったのだ。『アイ MUST GO!』。
 
その後どうなっているかは省略するが現在アイマスMRというコンテンツが始まっていることからも、やはり終わらせる気配はもはや微塵もない。
キャラと演者と担当Pの三人四脚であるアイマスにおいて、MRはアイドル補完計画だ。
将来的に765以外もやりだすだろう(デレも半ばやっている)。
 
次は2012年、765プロの7thライブ@横浜アリーナだ。
とはいえここは次が重いのでクッション的に挙げてみた。
モバマス*5 が2011年11月末開始、2014年1月の劇場版*6 の構想も始まっていた時期であろうし、なによりOFA*7 の制作準備期間でもあろう。
シャイニーフェスタという音ゲーもあった。PSPのフルプライス3本は実質3本の新作アニメだったが…。
TVアニメの一応の節目である。
 
最大の節目、なんといっても2010年、765の5th…と予想するところだろうが実は4thの2009年を挙げたい。
 
5thは確かに大きい出来事があった。現在まで続く2nd Visionの発表と、萩原雪歩の声優の交代。
当時の有名なエピソードとして石原D(元ディレ1)が演者全員に投げかけた質問がある。
「新しい展開を迎える『アイマス』に、また長い期間協力してもらえますか?」。*8
 
長谷優里奈は去った。表に出せる話・出ない話色々あるだろう。
ともあれ雪歩の芯を構築したゆりしーは降板となった。
浅倉杏美というもう一人の雪歩が決死の覚悟で参加してくれた。
託された。雪歩は繋がった。
 
だが2006~2007年にもう一人辞めていたかもしれない演者がいた。
 

最強のキャスト、その背中

 
今井は23歳で声優としての仕事をスタートしてから29歳までの期間を暗黒と表現した。 *9
声優そのものをやめようとしていた。
しかし未練か、因果か、如月千早が繋いだ。 *10
2009年はPSPアイマスSPが発売され、並行して2011年のアニメ化に動き出す年。 *11
そして今井にとっての声優業を確立した年でもあろう。 *12
ソロ活動もスタートしている。
 
その後の今井はそれまで以上にまさにコンテンツのキーマンだった。
もともとがアイマスのいちヘビーユーザーであり、スタッフともやりあう最強の演者。
特に2013年夏の8thツアーを最後にもう一人の超人もとい「神」・若林直美秋月律子役)が出産育児でライブをお休みしてから復帰までの約3年半、決して器用ではない中村繪里子天海春香役)を支え、別の領域でアイマスを見つめ続けた。
 
本筋から逸れるが、超人揃いの765ASの中においても今井は特に凄まじい。
あのバイタリティは間違いなくコンテンツを左右している。
 
  • 2014年の合同ライブ*13 、9thライブ、そして10thの合同ライブ*14 における存在感
  • 後輩達のライブにも頻繁に顔を出しプライベートで遠征までする*15
  • 初ライブを控えた事務所の直の後輩には「お前の人生はこれにかかってると思え」と発破をかける*16
  • 10thで大橋彩香島村卯月役)が変化するきっかけとなった声かけ *17
 
今井が居なかったらアイマスはこうはならなかった。
今井を筆頭に、あの時期に毎回のゲーム制作を、イベントを、ライブを「これが最後だ」と臨んでいた人たちの熱が今の隆盛になった。
終わらないことは幸せなことだ。
愛されないと、そのIPが金を稼げないと、そうはならない。
 
アイマスは今年14周年を迎える。
 

「終わりは始まり」とは

 
ただし「終わり」を得られなくなったことと引き換えだ。
 
幸い765ASなどは家庭用ゲームのプラットフォームがあり、ゲームストーリーとしては作品内時間52週でひとまず終えられる。*18
シャニマス*19 もゲーム内ではゴールがある。
シャニマスはシンデレラ以降のアイマスソシャゲスタイルとは一線を画し、独自の道を行く新世代だ。
それでもアイマスを掲げるタイトルとして、近日の1stライブを起爆剤として永遠への一歩を歩みだすだろう。
 
デレミリエムに至っては完結を目にすること叶わないのではないかという予感がある。 *20
 
繰り返すが、終わりは救いだ。
それが何だったかわかり、全体像を把握できるということは、あなたの人生または価値観に、確かさを持って刻まれるだろう。
 
だから「終わりは始まり」だ。
抽象的なフレーズであるが、「それが在る世界」から「それが在った世界」へのシフトを指す。
終わることでしか到達できない領域はある。
新しい朝を迎えることができる。
 
だから、もし何か琴線に触れるコンテンツの終わりが身近にあったら、見逃さないことだ。
 
本来フェードアウトする方が楽なのだ。美しく終わるのはぶっちゃけ難しい。
しかしだからこそ得られる景色がある。
未練も後悔もひっくるめて、最後に納得して気持ちよく終われるような"狭き道"をゆく、そんな人やコンテンツがいたら見届けることを強くお勧めする。
アイマスは終われないのだから。
 
少し前だとμ's(ラブライブ*21 、直近だとミルキィやDearDream(ドリフェス)。
そして2019年3月に解散するWake Up, Girls!
 
出会いを、同じ時代に生きた縁を見つめてほしい。
 

ちょっとだけ

 
ここまで読んでくれてありがとう。
最後にちょっとだけWake Up, Girls!、WUGの話を聞いてほしい。。
 
もうすぐ解散するWUGだが、これまでの色々なアイドルコンテンツを重ねる向きがある。
おそらく全部が似てるというのではなく、特定の属性を指して言及される。
アイマスと似てるという言説も見たことがある。
 
だが私はこれに異を唱えたい。というより注釈を加えたい。
WUGは「765プロが5thで大団円を迎え、終わる道を歩んでいる」と見ている。
 
ここまで終わりとか終わることについて書き散らかしたが、続けることも当然難しい。
当たり前だ。
アイマスは2010年の2nd Vision発表当初にしろ、その後の姉妹コンテンツ展開にしろ、続けて広げていくことだって十分に茨の道だった。
しかし今は300人を超えるアイドル、198人の演者*22 、愛に溢れた制作陣、なにより膨大な数のプロデューサーがいる。
世界を支える人が数多くいる。
 
WUGは…ずっと難しい道を歩んできた。
それでも続けようと頑張ってきた。
解散の明確な理由は明かされていない。
しかし「みんなで決めた」という。
ちゃんと終わろうというのをみんなで決めたというのだ。
 
どこかアイマスと似た、しかし別の結末で自らの終末と再誕を創りきる人々を、私は少しでも多くのアイマスのユーザーにも見てほしいなと思う。
さいたまスーパーアリーナ*23 でのファイナルライブは3月8日。
金曜という平日だし、翌日からの土日はシャニ1stだ。
はっきり言って翌日ライブを控えているアイマスPにWUG見に来いは無茶だと思っている。
 
でも「確かな終わり」と「永遠への一歩」を同時に見届けられるタイミングは今しかないとも言える。
 
 

2019年3月8日(金)
さいたまスーパーアリーナ
開場17:30 / 開演18:30

 
※当日券でます

 

もしわずかでも興味があったら以下の記事を読んでみてほしい。
とある天海春香、豊川風花の担当Pからのお願いである。
※最後に謝りたい。KRは3月11日以降に必ず視聴する…(私信)
 

*1:アイドルマスターシンデレラガールズのTVアニメシリーズ

*2:アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ

*3:アイドルマスターミリオンライブ

*4:アイドルマスターSideM

*5:モバゲー版アイドルマスターシンデレラガールズ

*6:THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!

*7:PS4用ソフト THE IDOLM@STER ONE FOR ALL

*8:当時の電撃の記事

電撃 - 長谷さんからバトンタッチ――『アイマス2』雪歩役・浅倉さん最速インタビュー!!

*9:今井麻美のSSGチャンネル 【第79回オマケ放送】ミンゴス人生相談! 青山吉能さんの悩みを解決!? 

https://www.nicovideo.jp/watch/1550209626

*10:7thライブ後のブログ

2012年06月 : ★UBIQUITOUS★ASAMI IMAI - ライブドアブログ

*11:演者へのアニメ化告知は5thライブ前後だった

*12:筆者の念頭には牧瀬紅莉栖がある

*13:M@STERS OF IDOL WORLD!! 2014

*14:M@STERS OF IDOL WORLD!! 2015

*15:数えきれないがデレ3rdやミリ2nd、3rd名古屋、仙台など

*16:ミリ3rd福岡で初ステージの中村温姫に, https://twitter.com/tamezou92/status/722794476461121536

*17:デレラジA #29, https://www.nicovideo.jp/watch/sm26809935 松嵜麗の765AS評も

*18:今のASは何の予定も無いけど…

*19:アイドルマスターシャイニーカラーズ 2018年リリース。2019年3月9・10日 1stライブ

*20:唯一終わりというものをもたらしてくれたのはグリマス(グリー版ミリオンライブ)くらいか。ただし受け皿のミリシタは概ね完璧とも言えるバランス感覚。昔のイラストやテキスト、エピソードの粋な引用もある。ミリはアニメ化すらこれからだ

*21:解散してないのはわかる。でも一応区切ったので

*22:2019年2月末時点

*23:SSAはWUGのアニメの聖地だ。初期の頃、少女たちが語った「いつか単独で埋めたい」という夢の場所だ

*24:WUGのラストアルバムのこの新曲、『自分REST@RT』『ススメ☆オトメ~jewel parade~』『M@GIC☆』の田中秀和氏だよ! 後半やばいよ! ファイナルで歌うよ!